blochの日記

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Fourier Step Sum (FSS)

磁場掃引しながらエコーをFFTした結果をずらして積算して行くことをFourier Step Sum (FSS)と呼ぶらしい。名前があるということを初めて知った。
KitagawaさんのマニュアルKAMEや、こちらのカゴメ(Y2Mo2O7)の論文に紹介されている。
測定磁場をH0=ω0/γとすると、エコーのFFTは、g(ω-ω0)のように、周波数ゼロを中心としたスペクトルになっている。これを、共鳴周波数ω0にばらまきながら、H0をずらして行く、ということである。原理は簡単なのだが注意点として、

  • スペクトローメータのReとImを逆にすると重ならず、どんどんずれて行く
    • サムウェイのDさんから教えて貰った。原理的には当然なのだが、実際の測定では、オシロのチャンネルがどうつながっているかとか、どっちの信号を先に取り込むかとかまでチェックする必要がある。
  • パワースペクトル化したものを重ねて行くと、ノイズは「無制限」にどんどん増える。
    • これも当然のこと。しかし、パワースペクトルにする前のReとImを足して行ってみたこともあるのだが、同じ程度のノイズだった。
      • 自乗検波(ダイオード検波)した信号も同様。古い教科書には位相検波の最大のメリットはいくらでも積算出来ること、と書いてある。
  • γの異なる複数の核種が重なっているとちょっとお手上げ。
    • これも当然なのだが、FとHとか、63Cuと65Cu、203Tlと205Tlとか、結構、現実のスペクトルではあり得る話なので、、、。
      • 周波数軸でなく、磁場軸上にばらまいて行くことにすれば「広がり」が多少異なるだけなのでfatalでは無いかも。四重極ですっとんで来た信号で、γがとんでもなく異なっているのでなければ。