ベルチエ先生と一緒に実験したとき、「お前の装置はGood old 70'sだ」と言われたので、RSIに出ているハルペリンの論文を見てみた。チューニング部分を真空式にしてNMRパルスの放電を防ぐというやつ。
- トリマはV2238/Voltronicsを二つ、スタガーに配置(2–120pF)
- コイルはシングルで低温でのセラミックシールを経由してHe槽に置く
- 低温でのfeedthroughはセラマシール(Ceramaseal)
- 日本ではグリーンテックが取扱い
- セミリジッド同軸はCu–Ni outer/Ag plated BeCu innerで、0.086"と意外と細い
- 会社名YOTEM, Evanston, ILとあるが見つけられなかった
- アンテナはsnifferと呼んでいて、薄膜50Ωを先端に付けている
- チューニングロッドは1/8-SSのチューブ
- 先端にはトリマーを回すドライバチップBsをG10材で繋ぐ
- G10ロッドとSSチューブとBsチップは横ピンで止める
- 室温でのSMAハーメチックは例えばHuberSuhnerの34_SMA-50-0-3/111_NE
- 温度センサの配線は室温で「エポキシシール」
- ヒーターはシールド管に無誘導に巻いてスタイキャスト1266を塗って外側を削る
- 真空槽の分解は、上部はOリングで、下部のハーメチック(コイルに接続)は、低温ハンダ
- 真空槽は10-6Torrまで引くと放電しない。ちょっとでもヘリウムリークがあると放電する
- コイルのシールド管内の温度センサは、シールドしてある。Lakeshoreのノイズがよほどひどいのであろう。
試料回転機構を付けるとすると、そのロッドはチューニング真空槽の外側を通すことになる、、、だんだん面倒になってきた。とりあえず、ベルチエ先生に言われた、「お前のプローブは長いんだから熱流入を心配すること無くCuのセミリジッドにした方が損失が少ないのでは?」を実行するだけで良いかなぁという気になってきた。
【後記】Cu製のやつに変えたら、全長2m超なのだけれど大きな熱流入のせいで、4Kすら到達しなかった。びっくり。おそらく、フランスと日本製では外皮部分の厚みが異なるのだろう。また、Fukase先生がご存命であったなら「そんな馬鹿なことを!」と切り捨てただろうと思うといろいろ感慨深い。
また、クロード先生にオマエはAの出かYの出か、と、日本陸軍の誰何(すいか)「山!川!」みたいなことを言われたので、Kです、と答えたところ、しばらく考えて、「俺の兄のイベットがパリで一緒だった。良く出来る学生だったと言っていた」と。ほぼ40年前の話だろうか、、、。これも感慨深い。